麻酔の痛みについて
歯科治療は小さな外科処置の繰り返しがほとんどです。痛みなく治療を行うためには、麻酔が欠かせません。ところが、この麻酔が痛いからイヤだ!といわれる方が非常に多いのも事実です。痛みをなくすための麻酔が、むちゃくちゃ痛いのでは本末転倒ですね。最近はいくつかの工夫をこらすことで、麻酔の痛みを和らげることができるようになりました。
麻酔時の痛みの原因には①刺すときの痛み、②麻酔薬を注入するときの痛みの二つが考えられます。
①の刺すときの痛みに対しては、
- 細い針を使う
- 表面麻酔を使う
ことによってかなり減らすことができます。
②の麻酔薬を注入するときの痛みについては、 とにかくゆっくり麻酔薬を注入することが肝心です。そのために、電動の注射器が開発されました。電動注射器を用いると、低速かつ一定の速さで麻酔薬が注入されるので、痛みが少なくなります。手で麻酔する場合も同様にゆっくり時間をかけることが患者さんに痛みを感じさせないポイントです。
こういったことを注意して麻酔を行えば、ほとんどの方が、「思ったほど痛くなかった」とか「いつ刺したのかわからなかった」と言われます。
麻酔が効きにくい場合
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腫れ、炎症が強い場合
炎症がひどいと麻酔薬が中和されてしまい、効果が薄れる場合があります。なかなか効かない場合は、まず炎症を抑える処置を行って、ある程度炎症が治まったら、もう一度きちんと麻酔をして根本的な治療を行います。痛みがひどくならないうちに治療した方が良いというのにはこういった理由もあるのです。
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下の奥歯
下の奥歯のまわりは骨が厚く、骨の密度も高いので麻酔薬が浸透しにくい場合が多く、麻酔が効きにくい場合があります。
※麻酔は、通常少なくとも2~3時間は効いていますので、その間は唇など周囲組織の感覚が麻痺しています。食事などの際、知らないうちに噛んでしまい、後で大きな傷になってしまう場合がありますのでよく注意してください。特に子供さんの場合は、保護者の方が注意して下さるようお願いいたします。最近は、短時間作用型の麻酔薬(スキャンドネスト・・・日本歯科薬品)もあり、当院では子どもさんや短時間の処置を行う場合と抜歯などの外科処置など、状況によって使い分けるようにしています。
電動注射器のオーラスター(昭和薬品加工)です