Tooth Wearについて
Tooth wearとはむし歯でもないのに、歯が溶けたり欠けたりする疾患です。現在、97%の人に「Tooth Wear」があると言われています。現状では適切な日本語訳が見当たらず、歯科関係者も「トゥース・ウェアー」とそのまま呼んでいます。
この「Tooth Wear」はいくつかの原因によって引き起こされます。
1つめの原因は、「酸蝕」です。酸蝕は文字通り酸によって歯が溶けるもので柑橘類・清涼飲料水・酢などの酸性の飲食物がダイレクトに歯を溶かします。なので酸性飲食物をよく口にする人は酸蝕のリスクが高くなります。健康に良いということで酢を毎日飲まれてる方で酸触になる方は少なくありません。柑橘類・炭酸飲料・スポーツ飲料・ジュース・ワイン・梅干・酢等数え上げればきりがありませんが、すっぱい飲食物には注意が必要です。仕事上酸を扱う場合や、塩素消毒されたプールで長時間泳ぐことで歯が酸蝕になるケースもあります。拒食症の方など、嘔吐によって胃酸が口に入り酸蝕になることもあります。
2つ目は歯と歯が接触することですり減る場合です。歯ぎしりを強く行う方の場合、削れ方も激しくなります。これはかみ合う面が平らになっていることで確認できます。
3つ目は歯の接触以外の機械的な理由による摩耗・・・例えば歯磨きをしすぎることなどによって歯が磨り減ることです。
あと、歯を強くかみ合わせたり歯ぎしりすることで、直接接触していない場所・・・多くは歯と歯茎の境目・・・か削れることもあります。歯科ではその形態から「くさび状欠損」と呼びます。
こういった「Tooth Wear」を完全に防ぐことは難しいのですが、症状を引き起こしている原因を取り除くような生活習慣の改善や予防を行うことで、少しでも摩耗を減らさないと長期的には大きな問題になることもあります。食物中の酸が原因の場合、酸を含む食べ物や飲み物を避けたり、摂取量を減らすというのが予防としては大切になります。歯ぎしりなどによる摩耗については、夜間マウスピースを着用するなどの方法で摩耗を防ぐ必要があります。
溶けたり削れたりして失われた歯質は、ひどくなるとなんらかの修復治療が必要になります。ただ極度に削れてしまった場合、修復のための条件は悪化し、治療も一筋縄ではいかないことが多くなりますので、生活の中で予防していくことが大切です。